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根張りについて

素焼き鉢は根張りがよく、ポリポットは根張りが悪いといわれる。果たして正しいのでしょうか?
当園では素焼き鉢を使用しておりますが、一時的にポリポットを使用することもあります。
それを見る限り 根の生育、発生本数とも決して劣る事はありません。
むしろ根が鉢の中に入りやすく、早く一杯になりそうです。
根が一杯になった時素焼き鉢は鉢から水分、肥料を供給でき生育はより活発になります。
ポリポットは根が一杯になると鉢から何も供給されず外周の根が遊びます。
生育スピードが落ち始めるので外側に新しいミズゴケを補給する必要があります。
根張りだけに限定して比較すると両者の差は全くなくむしろポリポットのほうが多いような気がします。
素焼き鉢で上手に作る人はポリポットでも根張りが悪くなることは全くありません。
逆にポリポットでうまく作る人は素焼き鉢でも良くできます。
素焼き鉢の最大の利点は乾きが早く、均等に乾きやすい。最大の欠点は重い事です。
ポリポットの最大の利点は軽く生育がよい、最大の欠点は乾きにばらつきが多く水管理が難しいことである。
この事は当園の肥料管理で差が無いと言うことで、別の肥料体系、とくにチッソの多い管理では別の結果になるかもわかりません。
そこまでは調査していません。


徹底的に排除しなければならない病気と普通の病気
(この記事は当園の経験によるものであり他に適切な防除方法があるかもわかりませんが参考にしてください)
病気には自然界にごく普通にある病原菌によるものと人為的に持ち込まれた病原菌によって引きおこされるものがあります。
前者は株の抵抗力を付けたり、栽培環境を良くすることによりある程度防止できます。
後者は伝染力が強く薬剤で防止出来ないものが多く、感染が判明したら直ちに廃棄する勇気が必要です。
美人薄命と言われますが最近の交配種はより良い花を求めて交配を繰り返すうちに病気に対して抵抗力が落ちてきております。
薬剤に頼った栽培がある程度必要です。
胡蝶蘭で有名な白弁赤リップのDtps City Girl のオリジナル交配種はやや花が小さいがとても丈夫で病気知らずでした。
最近の花は City Girl x City Girl の交配で名前は同じでも花は立派ですが病気に対しては無力です。
同じ傾向が他の花にも言えます。

 フザリュームによる立ち枯れ
 軟腐病
通風を良くし外気を多く取り入れる、肥料のバランスを考え丈夫な株をつくる
 リゾクトニア菌による根ぐされ
高温で適度の湿気が続くと発生する、灌水ごとに乾かすようにする。イチゴなどに施す糖質の入った高級肥料は病気を誘発する可能性があります。
稲のもん枯れ病の薬剤が有効で潅注します。

無農薬での栽培はやはり早期発見で株を処分する事が望まれます。また病気に強い品種を選ぶ事が大切です。

 ウイルス病
症状は色々あり専門家でも不明な事も多くあります。
樹液で感染するのでハサミ、手、鉢、ベンチなどの消毒は確実に。メリクロン フラスコ苗も汚染されていることがあります。
疑わしい株は早く処分します。葉に薄いモザイク(ダニの吸痕と間違う)の入ったシンビジュームは伝染源として危険です。

 褐斑細菌病
新葉の小さな褐色の斑点からゆっくりと細胞が破壊されて広がっていきます。
灌水の水滴などで伝染するようで極めて危険です。
自然では発生しなく輸入株など外部から病気を持ち込みます。
新しく購入した株は2〜3ヶ月観察することが大切で、異常があればあまり薬剤が効かないので非常事態にならないうちに徹底的処分をすること。
病気の葉を切とっても再発するようでしたら褐斑細菌病を疑います。

他にも色々病気がありますが当園では被害が少ないので省略します。

消毒を考える。
参考書に病気と治療薬品が記載されていますが現実はそうは簡単に対処出来ません。
私も20年も洋蘭を栽培していますが未だに解らない事が多すぎます。
葉の小さな病斑で、目視ではほとんど同一に見えてもバクテリア カビ 生理的な現象と色々あり周囲の環境から病名を予想します。
しかし判断が間違っていれば消毒をしても意味がありません。
私は絶対自信が有る以外は農業技術センターに持ち込んで顕微鏡で調べてもらいます。
年に5〜6回はお願いしていますが快く引き受けていただいて感謝しています。

安心の予防消毒?
貴方はフラスコ苗を買ったらどのように処置をしますか?
1.栓を取って1〜2日放置して慣らす。
2.フラスコの中に消毒薬を入れてから取り出す。
3.取り出したら消毒薬に浸ける。
4.乾かしてから植え付ける。
5.水苔は過酸化水素(オキシドール)で消毒する。
6.水苔は次亜で消毒する。
7.水苔は臭化メチルで消毒する。
7以外全て過去に実践した事項です。
完璧と思い100倍の次亜(塩素)消毒で2年目、仮植した2000本のメリクロン苗が全滅。
地上部の異変に気づいた時は水苔の中の根は全て溶けていました。
塩素で無菌状態の所で塩素に強い雑菌が異常繁殖したのです。
この事件以後、仮植は水苔をやめてピートモスを使い消毒は止めました。
多少枯れますが。無理をしないで自然に任すようにしました。
ずいぶん気が楽になります。枯れれば「この苗は生きる権利がないのだと」
大株についても同様の考えで最近は余程の伝染病、害虫以外は消毒は行いません。
発病した株は直ちに処分します。

農薬濃度の厳守
農薬には決められた濃度があります。濃くすればよく効くと考えますが、一時的には効きますが、耐薬品細菌が出現します。

同じ農薬の連続使用はさける。
やはり耐薬品細菌が現れます。
フザリュームの特効薬はベンレート(トップジンM)ですが「全く効かなくなった」とよく耳にします。
使いすぎが原因です。
トリフミン、タチガレンなどを交代で使用しましょう。
丈夫な品種を導入し消毒は最後の手段として温存します。

予防消毒
性質上、耐薬品細菌の出にくい銅剤を使います。
無機銅(硫酸銅)と有機銅があります。前者は濃度障害に注意、後者は汚れが目立ちます。

病気を考える。
自然界にはいろいろな有益菌や病原菌が存在します。
人間にとって都合の良い物は有益菌、都合の悪い物は病原菌と分けます。
有益菌にしろ病原菌にしろ自然界には1種類の菌だけが長くに繁殖することは出来ません。

ワインの例
ブドウに付いた酵母菌はブドウの糖分をエサにして増殖するこれを発酵という。
発酵が進み酸素のない環境で酵母菌はアルコールを作ります。
これでブドウはワインに変化します。
糖分を食べ尽くした酵母菌は増殖出来なくなります。
(この時点で殺菌すればワインの完成)
生産されたアルコールをエサに酢酸菌が増殖を始める。
強力な酸で酵母菌をはじめ殆どの微生物は死滅してしまう。
酢酸菌も増殖が進むと自ら出した酢酸で自滅するのです。
今度はその酢酸をエサにする細菌が増殖します。
こうして最後は水と炭酸ガスに分解され自然に帰ります。
微生物には枯れて死んだを植物を分解する有益菌と生きている植物体を
分解する病原菌に仕分けしますが自然に帰す作業は同じなのです。
弱い植物を整理し強い物を残す自然の姿なのです。
私たちは大事な弱い植物を守るため消毒という毒で細菌を攻撃して植物を守ります。
本当は淘汰されるのが自然なのですが。

前置きが長くなりましたがここで洋蘭の事をもう一度見直して見ましょう。
健康に育てれば殆ど消毒の必要はありません。
当園では予防消毒はしません。
病気がないのに薬を散布すると多くの有益菌も死滅するのです。
微生物のバランスが崩れ薬効が切れると増殖の早い病原菌のほうが早く出現します。
少しぐらい病原菌があっても気にしない(発病株を放置する意味ではない、発病株は感染源になるので即処分)。
病気を引き起こすには多くの菌数が必要です。
少々の数では植物体に入り込む率が少ないからです。

水苔などの培地は消毒しない
消毒をすることにより全体の菌数が減少し、競争相手の少ない環境では残留した雑菌が猛烈に繁殖するからです。
特に強力な次亜塩素(カルキ)の使用は厳禁です。

逆に雑菌が繁殖する余地がないように腐葉土など腐食性の細菌の多量に入った物を混入した方が良い結果が出ます。
ホームセンターで良い臭いのものを探して購入します。
適当に0.5〜1割も入れば十分です。
水苔は有益菌にとって住み心地があまり良くないようです。
少し工夫すれば良い結果が出ます。
薬漬けは止めましょう。